『紫色のクオリア (電撃文庫 う 1-24)』:うえお久光/綱島志朗のかんそーぶん
■ 『紫色のクオリア』:うえお久光/綱島志朗(ISBN9784048679046)。電撃文庫新刊。 イラストレーターに「JINKI」シリーズでお馴染みの網島志朗を迎える形で 電撃文庫MAGAZINE増刊誌にて発表された コラボレーション短編小説に描き下ろしを加えた一冊。 自分以外の人間が全て「ロボット」に見えるというとある少女と、 その親友の少女が辿る可能性の物語。
- 毬井ゆかり、「わたし」の大切な友達。 彼女は自分以外の人間全てが「ロボット」に見えるのだという。 今日はそんな彼女について話そうと思う…『毬井に関するエトセトラ』
- これはわたし「波濤学」の身に起きたとある事件の物語。 それはわたしのファーストキスから始まった…『1/1,000,000,000のキス』
- 『if』
私の感想なんざいいからさっさと買って読め!(キリッ
…と思わずひと言で済ましたくなるのが正直な所です。いや真面目にね。 それくらいに面白かった。うえお久光氏の 実力のほどを久々に見せつけられた感がありますな。
雑誌掲載分を改題した「毬井に関するエトセトラ」では 人間どころか、自分を覗いた生物全てがロボットに見えるという ゆかりと 彼女の親友となった波濤学、 そしてかつて親友だった天条七海というの三人の少女の関係に焦点をあて、 短いエピソードの積み重ねから、ゆかりという特異な存在のありようや 外の世界との関わり合いを描き出していきます。 ゆかりさんのなんともふんわりとした可愛らしいキャラクターにほのぼのとしつつ読んでいると 次第に雲行きが怪しくなり始めて以下略。 最後のとあるシーンでは正直背筋が寒くなりました(汗
『1/1,000,000,000のキス』は本単行本の大半を占める描き下ろし。 ゆかりの親友である「波濤学」が、直面した難問を前に筆舌に尽くしがたい努力を重ねる エピソードです。 いやもうこれがまさしく圧巻。 前エピから一転して、ハードでシビアな物語が展開することになります。 正直、何を書いてもネタバレになるのでなんとも悩ましいところ。 雪だるま式に拡大されていく世界構造の妙は独特のトリップ感があり、 思わず一気に読み終わってしまいました。それだけの力強さを持つということでもあります。 全てを投げ打ってでも護りたかったものを彼女は本当に護り切れたのか… その答えは無限の未来の中に…ってところですかね。
続けようとおもえば続けられはするでしょうけれど 基本単巻モノという認識でOKだと思いますので、お気軽に手にとって読んでみて下さい。 とりあえず個人的に今年の一押しSFライトノベルに決定です:D (Permalink)
■関連情報 | |
タイトル | 『紫色のクオリア (電撃文庫 う 1-24)』 |
作者 | うえお久光/綱島志朗 |
出版社 | アスキー・メディアワークス |
発売日 | 2009-07-10 |
区分 | 一般 |
カテゴリ | ライトノベル |
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Shinonome Azumi(yuunagi@maid.ne.jp)